12年ひと昔

2021年、ボクは年男です。1961年にこの世に生を受けてからこれで5回目の丑年。12年×5回=60才。つまり還暦です。
これまで生きて来た5回の“12年”を思い起こすと、それぞれ波乱万丈でしたが、前回の丑年から今に至る最近の12年間もなかなか激しく、自分が予想していた人生とは全く違う結果となりました。
12年前の2009年、ボクはサラリーマンをしていました。それまで、自分の意思で転職したことも、やむなく会社を移らざるを得なかったこともあり、当時の会社が7社目の勤務先でした。私生活では48才を迎える年で、3人の子供はまだ全員就学中でした。会社の業務は、自分が長く関わってきたベンチャーキャピタルだったので、定年まで残すところ10数年間をベンチャー投資に関わりながら生きる覚悟でした。実際に、遣り甲斐ある仕事を任され、充実した生活に感謝しながら日々を過ごしていたのですが、好事魔多しとはこのことです。3年後の2012年1月、“親会社の方針”というだけの不可解な理由で、会社が突然解散することになり、ボクは50才にして人生のリセットを迫られることになったのでした。
その後、8社目の転職ではなく独立の道を選択したボクは、51才の誕生日に会社を立ち上げ、多くの皆さんのサポートを受けながら何とか今日まで「コンサル&リサーチ」を軸に経営を続けています。今は、あの時に独立を決断して本当に良かったと思っています。
この12年間は、あっという間の出来事でした。会社をつくった当初は何をするかも定まっておらず、とにかく一日、一週間、一月、一年と、必死で働いて来たので、時の流れを感じる余裕などありませんでした。今はそれなりに落ち着いていますが、何でも自分でやる“独り会社”なので、多忙さから逃れることはできません。「気が付けば年末」という1年が続いています。
12年前、サラリーマンだった自分には、12年後の今の自分を想像すらできませんでした。当時はこのままサラリーマンとして働き続け、出向とか定年とか再雇用とかの社命を受け、そして老後に向かっていくものとばかり思いこんでいましたが、実際の12年後の自分は、組織に属さず独りで仕事をしながら、定年とは関係のない生き方をしています。また、この間に子供達はみんな社会人になり、世の中も大きく変わりました。感覚的には「たった12年」ですが、やはり12年という月日は長いのでしょう。
人生、どう転ぶか判りません。転機をチャンスと捉えるか、身に降りかかった不幸と決めつけるかで、その後の生き方も変わります。ボクにはあともう一回、丑年が巡って来るでしょう。次の12年間は、今以上にあっという間に過ぎ去ることは間違いありませんが、必ず「何か」が起きるはずです。その時に後悔しない決断をし、72才を迎える節目の年に過ぎ去りし日々を振り返りながら、そのことを懐かしみたいものです。次回の丑年は2033年か・・・。いったいボクはどうなっているんだろう。