インフレ男が思う事

ボクが社会人になった1985年は、バブル景気前夜でした。金融の世界に身を置いたボクは、その後数年間、あらゆるモノの資産価値がどんどん上昇していくインフレ時代の活況を目の当たりにし、「じっとしていたら負け。行動せねば!」という価値観を持つようになりました。

「迷った時はヤル」を信条にしたボクは、1989年に銀行を辞めて投資会社に移り、その後、外食業界に飛び込んだり、再び金融に戻ったりと、5回の転職を繰り返して来ましたが、「これが俺の生き方だ」なんて本気で思ってました。私生活でも、20代で最初のマンションを購入し、その後無謀にも2軒目のマンションを購入して、30代前半には恐ろしい額のローン残高(とても口に出して言えません)を抱えていましたが、あまり危機感は持っていませんでした。当然、子供だって多い方が良いと考え、3人の子持ちになりました。今でもよかったと思ってます。               でも世の中は、1991年を過ぎた頃から「失われた20年」と呼ばれるデフレ時代に突入していたのです。一般的にこういう時代、経済的には「じっとしているのが正解」だと言われます。しかし、楽観的なボクは、良きインフレ時代の再来を信じ、デフレの流れに抗うように生きて来ました。

この20年間は、多くの人にとって厳しい時代でしたが、やはり、セオリー通り、厳しさに耐えながら「じっと我慢してきた人」の方が、圧倒的に勝率が高かったと言えるでしょう。 ボクはこの時代、経済的には典型的な「負け」の生き方をして来たと思います。でも、負け惜しみじゃないけれど、全く後悔してません。特に精神的には。。それに、これからまた「行動の時代」がやって来るとすれば、ボクのようなインフレ型のワンパターン人間でも勝率が上がって行くはずです。人生80年時代、50歳を少々超えたくらいなら、まだまだチャンスは転がっています。

ボクが会社を作って独立したのは2012年10月で、間もなく丸2年を迎えます。思えば、安倍政権の始まりが2012年の暮れでした。後々、「2012年というのは、失われた20年が終焉に向かう節目の年だった。」という評価が確立されるのかもしれませんが、そういう年に会社を設立したのも運命でしょう。「俺の人生、やっぱり走り続けて良かった。」と思えるようにしたいものです。

ボクが子供のころ、「大きいことはいい事だ」っていうCMソングが流行りました。高度成長期の考え方を端的に表したフレーズです。その後、時代はバブル期に突入し、「持てる物こそ成功者」という考え方が支配的になりましたが、一転して「じっとしているのが正解」のデフレ期が20年以上も続くことになりました。そして、ようやくデフレを脱却しつつある日本人の価値観は、これからどうなって行くのでしょう。個人的には「挑戦するのはいい事だ」という世の中になって欲しいと思っています。

金も無いくせにインフレ的な考え方しかできないこんなボクですが、20代以下の若い方達には、「行動」と「我慢」の両方のオプションを持ち、世の中の流れをしっかり見据えながら、臨機応変に生きて欲しいと思います。やっぱり大事なのはバランスですよ。