ボクと銀だこ

今日、2014年9月30日は、ボクにとって二つの意味で大切な日です。

一つは、今日がカルタゴの第2期決算の日だということです。2012年10月1日にカルタゴを設立してから2年間、何とか会社を続けて来ることができました。どうもありがとうございます。

そしてもう一つが、銀だこ(ホットランド)の上場です。本日、ホットランドが東証マザーズに上場しました。パチパチパチ。。。

ボクと銀だこの出会いは、今から14年前の2000年です。
当時、ベンチャーキャピタル(VC)で投資の仕事をしていボクは、「築地銀だこ」というたこ焼き屋さんの新聞記事を見て、そのチェーンを運営しているホットランドの佐瀬社長に会いに行きました。ボクは一目で佐瀬さんの人柄にほれ込んでしまい、勝手に銀だこの食べ歩きを始め、短期間のうちに50店舗以上を回り、結果をレポートにして佐瀬さんに渡しました。
客目線で書いた数十頁のレポートのおかげで、その直後に行われた増資では、VCとして1社だけ出資することが出来ました。ボクは、投資後も日々の業務や出張の途中で、暇を見つけては銀だこを食べてレポートを書き続け、当然のようにホットランドに転職することになりました。40歳直前、2001年9月のことです。

ホットランドには、3年間お世話になりました。
入社後は、過去の金融キャリアとはあまり関係のない現場に近いポジションばかりを経験をしました。学生時代のマックのバイト以来ほぼ20年ぶりにお店に立ちましたし、人事や営業企画、お客様相談室もやりました。また、約1年間、お客さんとして全国の銀だこを回る「覆面リサーチ」で、のべ500以上のお店を見たのが、その後のボクの人生に大きな影響を与えることになりました。

その後、2004年には銀だこを退職して別の外食に移りましたが、2006年に縁あって再度VC業界に戻りました。その採用面接の際に、銀だこに投資した時の話が話題になりました。徹底的に現場を見て回り投資先に入り込むようなスタイルの投資マンは珍しかったので、VC業界でそんな変わり者のことを覚えてくれていた方がいたのです。結果的に銀だこへの投資のお蔭でVCに戻ることが出来たと言えます。

そして2011年には、別のVCで再びホットランドに投資をすることになりました。ちょうど50歳の時です。増資に際して佐瀬さんが声を掛けてくれたのです。結果的にその投資がVC人生最後の案件になりましたが、今回の上場で大きなキャピタルゲインをもたらしてくれました。

しかしボクは、不本意ながら投資直後にそのVCを辞めることになりました。サラリーマンではなく独立の道を選んだボクに、「店舗リサーチでコンサルやってよ。」と声を掛けてくれたのも佐瀬さんでした。
実は、50歳を過ぎてからの何の当てもない独立だったので、会社設立直後に、古巣の銀だこから仕事を頂けたのはとても幸運でした。もし、銀だこの仕事が無かったら、カルタゴはとっくに消滅していたかもしれません。ボクは再度のべ500店舗以上の銀だこをリサーチすることで、ホットランドに貢献できたことを誇りに思います。(現在、銀だこの店舗リサーチは休止中です。)

カルタゴはちっぽけな会社ですが、多くの皆様に支えられて、本日、無事2期目の決算を締めることができました。その同じ日にホットランドが上場したのは、不思議な巡りあわせだと思います。
思えば、ホットランドには、1回目の投資⇒入社⇒2回目の投資⇒コンサルティングと、この14年間で4度も違った立場から関わって来たことになります。ひょっとして、これからの人生でも、何らかの関わりがあるかもしれません。「4度あることは5度ある。」って言いますから。

人それぞれに、特別な存在の会社や人間があると思いますが、VCに居た者にとって、投資先の上場には特別な思いがあります。そして、ボクにとってのホットランド・銀だこは、単なる投資先に留まらないとても大きな存在です。

以上、ホットランドの上場にあたり、この14年間の「ボクと銀だこ」に思いを巡らせながら、駆け足でブログにしたためて見ました。